はたらく“人”を知る
明るい陽光が注ぎ、
見晴らしのよい高台の全34室で
第二の人生となる穏やかな日々をサポート

せらび恵比寿ホーム長福士 奈穂子さん
介護のお仕事に就かれたきっかけを教えてください。
高校時代にたまたま、両親の知人が老健(老人介護保健施設)の管理者をしていて、そちらでボランティアをする機会があったのです。私はもともと両親が共働きだったので、近所に住む祖父母とよく過ごしていました。そのせいか、老健でも車いすを押したり、お話や食事の介助といったお世話をするのが苦にならなかったんですね。
その経験が、後に進路を決めるときに思い出され、福祉系の学校に進みました。
仕事にしようと思ったのは、同級生がみな、この道に進もうとしていたから。周りがそうだから私も、といった感じです。
どのようにお仕事をされてきたのですか?
始めは療養型病院に勤め、3〜4ヵ所、計10年ほど、医療に近い場での介護を経験しました。看護師の方の補佐に入るなどして覚えることも多く、やりがいを感じる日々でした。
それでも、改めて看護師資格を目指すよりは、やはり介護の仕事を極めていこうと思い、老健に転職をしたのです。そこで感じたのは、病院とは違って「生活の場」なのだということ。ご入居者さまたちの一日の過ごし方も私自身と大差なく、朝起きて顔を洗い、食事をして、好きなときにテレビを見て…という感じです。改めて、皆さまはここで生活されているのだ、と思いました。その場所に私のほうがお邪魔して、お世話をさせていただくのだという感覚ですね。
その後、2〜3年して、有料老人ホームに移ると、機能訓練で在宅復帰をめざす老健よりも、さらに生活する中でのお手伝いというのを強く感じました。そうして2016年に「せらび」に入職し、現在に至ります。
「せらび恵比寿」はどのような雰囲気ですか?
全体で34室、ワンフロアでも14室と老人ホームとしては比較的コンパクトな作りで、ちょうど目が届きやすい規模感です。ご入居者さまにとって、スタッフの姿が見えなくても気配を感じられ、安心して暮らしていただけるかと思います。
また、この人数ですと、ご入居者さま同士も顔を覚えやすく、何となくこの人は見たことがあるというところから会話が始まったりされます。中には、仲良く連れ立って区民センターやお買い物などに出かけられる方もいらっしゃいますね。
ご入居者さまへの接し方として、大事にされていることはありますか。
ほとんどの皆さまは老人ホームに入居したくて、されているわけではないでしょう。
一番はやはり長年住み慣れた環境であるはずなので、いかにもともとの環境や生活のリズムに近づけて差し上げられるかが大事だと思っています。
その中で、入居したのが「せらび恵比寿」で良かった。ここが終の住処なのだと感じていただければ、少しはお手伝いできたかなと思えるでしょうか。
入居時よりも笑顔が増えられたり、知的に不安定なところが徐々に落ち着かれたり、自宅に帰りたいと言われる回数が減ってきたりすると、良かったなと感じます。
「せらび恵比寿」のスタッフは20代から70代まで、幅広い年代の者がおります。子や孫、ひ孫に近い世代からすれば、ご入居者さま方に敬意を持って接するのは当然のことです。戦争なども経験され、日本の発展とともに社会で貢献されてきた方々だということを忘れてはなりません。
また、70代のスタッフというのは短時間勤務ですが、ケア担当というよりはお話相手になります。ご入居者さまとの会話の中で世代が近いからこそ深くお話ができたり、相談もされやすかったりします。
「せらび恵比寿」はご入居者さま1.5人に対してスタッフを1人配置しておりますが、人数を手厚くすることで、幅広い世代のスタッフがそれぞれの特徴を生かしてお世話ができるメリットもありますね。
入居者に喜ばれているサービスには、どのようなものがあるでしょうか。
通院やお買い物など、外出の付き添いは日頃から喜ばれておりますが、特にご入居者さまのお誕生日に毎年、ホームからのプレゼントとして欲しい物や行ってみたい場所などのリクエストにお応えするのが好評をいただいております。
世代的に昔、楽しまれたであろうボウリングであったり、カラオケボックスや回転寿司など、ご自分では足を踏み入れたことのなかった場所をご希望されたりするんですね。このように、普段のケアの延長線上ではなかなか要望しにくいことも言っていただける機会となっています。
また、食事は専門の調理師が館内の厨房で心を込めてお作りしていますが、管理栄養士のほうで週に1回各居室に伺い、次の1週間のメニューのご案内をしながら、苦手なものなどを確認させていただいております。その上で、可能な範囲で別の料理に差し替えたり、調理の仕方を工夫したりと、ご要望に近づけるよう努めています。これも、ご家庭で召し上がるようにお食事を楽しんでいただきたいという思いからですね。
そのほかに、特別なサービスはありますか。
近年要望が寄せられるようになったのですが、病院を退院されてから自宅に戻られるまでのステップとしてご入居される例が出てきています。入院されて衰えた体力や生活力を、「せらび恵比寿」でスタッフの見守りのもと、少しずつ取り戻していただき、安心して自宅で過ごせるような状態をめざされるということです。
私自身がかつて長く勤務した老健のような機能回復の目的となりますが、「せらび恵比寿」であれば、もともとの生活の場や雰囲気により近く、自由度高く過ごせるでしょう。場合によっては、スタッフが短時間でもご自宅にお連れして数時間いていただくとか、バスや電車など公共交通機関も一緒に乗ることで、少しずつ慣らしていただいたりしています。
ご入居を検討されている方へ、メッセージをお願いします。
私自身、20年ほど介護の仕事をしてきた中で、単に介助やお世話というだけでなく、その方の第2の人生をプロデュースさせていただければと思うようになりました。
極論をいえば、たとえば認知症になられたとしても、人生はまだ続きます。そこに「せらび恵比寿」として、どう関わり、一緒に過ごさせていただけるのかをご提案していきたいと考えています。ですから、施錠して閉じ込めるようなことはいたしません。館内でもご近所でも、とにかく歩かれることで気持ちが落ち着かれることもありますので、「一緒にお散歩しましょうか」などと言って、スタッフが付き添わせていただくなどしています。お一人で出て行かれれば徘徊ですが、一緒に連れていってもらえればお散歩なんですね。
また、認知症関連のことは介護の中でも考え方やアプローチのされ方がどんどん新しく出てくる分野になりますので、スタッフも常に勉強を欠かしません。より良いお手伝いをさせていただけるよう、これからも努めていきたいと思います。