はたらく“人”を知る
一緒に生活するのが、私たちの仕事。
「第2のわが家」として頼ってもらえれば。

フローレンスケア荻窪ホーム長松下 卓司さん(介護福祉士)
なぜ、介護のお仕事に?
実は、50歳まではコンピューター会社でシステムエンジニアをやっていました。プロジェクトが解散することになり、転身した先が介護の世界でした。それまでを振り返れば、自身、おばあちゃん子だったのですが、90歳で大往生を遂げる前には認知症もあって、一人で外に出ると帰ってこられなくなってしまうので一緒に歩いて出たりしていました。介護とまではいかずとも間近で、できることを手伝った感じですね。父は胃がんで亡くなりましたが、その際も病院で寝泊りして付いていました。また、転職の1年ほど前には叔父が認知症になり、グループホームに入居。いとこの相談にのりながら、家族にとっての介護というものを深く考えるようになったと思います。そういうことが、介護の世界に踏み出すきっかけになったかもしれません。
実際にお仕事されてみて、いかがでしたか?
機械相手から、まさに人と接する毎日となったわけです。最初はケアスタッフとして介助することを一つひとつ覚えていきました。そうして主任代理を経て、3年ほど前からはホーム長を務めています。私よりも経験の長いパートのベテランスタッフや、18歳で志を持って入職してくる若いスタッフなどに助けられていると、日々感じます。異業種を長く経験してきた私にとっては、頭が下がる思いです。介護の仕事というのは、食事や排せつの介助が技術的にできればよいわけではなく、もう一つ何か、ご利用者さまへの思い入れのようなものがないと難しいと思うんですね。
ご入居者さまに対して心がけていることは?
基本は、お一人おひとりが笑顔になっていただけるように、ということですね。私がふと言ったことで笑っていただけたり、丁寧に行ったことで喜んでもらえたらと思います。笑顔は信頼されている証でもあるでしょう。前職ではコンピューターが相手で、お客さまやユーザーの反応は遠まわしにしか聞こえてこないものでしたから、なおのこと、ご入居者さまの笑顔が喜びであり、やりがいなのです。また、介護やお世話を「してあげる」のではない、というのが大事だと思っています。仕事だからやっている、という風にはなりたくないですね。それよりも「一緒に生活している」という実感の方が強いですし、その感覚を大切にしていたいと思います。
こちらでは「生活すべてがリハビリテーション」と提唱されていますね。
お食事のために起き上がって食堂に来ていただく、車椅子から椅子に座りなおして食卓についていただく、といった一連の動作がリハビリになるもの。生活場面でお一人おひとりがしたいことやできることを見つけ、意欲も引き出させていただきながら、ご意向によりますが、できることはなるべくご自身でやっていただくのが基本ですね。「食べられる・立てる・歩ける」というのが、生活の質に直結します。良い時間を少しでも長く過ごしていただけるよう、お手伝いをしています。
どういう老人ホームでありたいと思われますか?
こちらは全個室で、30室と規模も手頃。お部屋ごとに担当者を付けるユニットケアで、目が行き届きやすいアットホームな環境です。また、ご家族も近隣の方が多く、毎日のようにいらっしゃいます。働き盛りの男性で、毎朝7時にいらして、おかあさまに体操をさせてあげてから出勤される方もおられるんですよ。頭が下がりますが、ご入居者さまだけでなく、ご家族にとっても、この場所は家の一部なんですね。「第2のわが家」と思っていただきたいです。私自身も身内の介護や世話を経てきていますので、ご家族の思いやご苦労というのは身に染みて感じます。24時間をご家族だけでお世話するのは本当に大変なことで、だからこそ私たちのような施設があり、スタッフがいるのです。今は病院も、長くは入院させてもらえません。そうすると、ご自宅でみられるのか。安心していられる場所がないかと、ご家族の切実さも一際でしょう。社会から求められる存在として、ご入居者さまご自身をお手伝いし、ご家族も楽にしてさしあげたいですね。
印象深いエピソードなどはありますか。
フローレンスケア荻窪では今、看護師が日勤のみですが、たん吸引が必要な場合は夕方なるべく遅くに一度済ませ、翌朝早くにまた行うなど、状況に合わせ最善を尽くしています。「フローレンスケア」で24時間看護ができる施設をご案内もできますが、長く入居されていた方からは「ここにいたい」と言っていただくことが少なくないのです。こちらの運営は2009年からになりますが、当時から入居されていた方で、最期はこちらでと強く希望された例もあります。また、ご自宅はすぐ近くなので、動けるうちに一度家に帰したいといったご要望があり、ご家族だけでは困難なこともありお手伝いさせていただきました。1時間ほどの短い時間ではありましたが、懐かしいご自宅をしっかりと感じていただけたかと思います。こうした細やかな対応は、この小さな規模のホームだからできることでもありますし、できる限りご希望には応えたいですね。
ご入居を検討されている方へ、メッセージをお願いします。
フローレンスケア荻窪は高級感あふれる施設ではありませんが、介護サービスを提供するといった他人行儀なところもなく、本当にアットホームな環境です。一緒に生活をして、できることを少しずつ増やしたり、できなくならないよう続けたりすることで、少しでも長く「食べる・立つ・歩く」ができるよう、お手伝いさせていただきます。第2のわが家として、安心して頼っていただきたいですね。