Classien高級老人ホーム・高齢者住宅検索サービス

MENU
お問合せ・お申込みはこちら > お電話でのお問合せは0120-849-221

相続法改正についてわかりやすく解説

相続法改正についてわかりやすく解説

約40年ぶりに相続に関する制度が大きく見直され、2018年7月6日に、相続に関する民法等の規定を改正する法律が成立しました。なお、改正項目は複数あり、また、施行時期も一律ではなく、順次施行されています。

相続法の見直しで改正される項目と施行時期 始めに、相続法の見直しによる改正項目と、それぞれの施行時期についてまとめてみます。

相続法施行時期

今回は、上記改正項目の中でも、円滑な相続を実現するための切り札として関心を持つ人が多く、2019年1月13日から既に施行されている「自筆証書遺言の方式緩和」、並びに、付随する項目として、2020年7月10日施行予定の「自筆証書遺言の保管制度の新設」について解説します。

自筆証書遺言の概要

まず、自筆証書遺言についておさらいしてみます。自筆証書遺言とは、遺言者が遺言の全文、日付、氏名等を自書し、押印する方式の遺言です。公正証書遺言と異なり、作成過程に公証人や証人が関わる必要はなく、満15歳以上であれば、誰でも遺言者が自分1人で自由に何度でも書くことができ、費用もかかりません。

自筆証書遺言のこれまでの問題点

作成が容易な反面、形式に不備があると法的には無効とされ、不動産の所在地や預・貯金の口座などを含め、すべて手書きしなければならなかったため、特に高齢者にとっては、作業的にかなり負担になっていました。

また、せっかく遺言書を残しておいても、自分が亡くなった後、遺族が遺言書の存在に気付かなかったり、あるいは、気付いたとしても遺産分割協議を既に終えており、せっかくまとまった遺産分割協議をやり直さざるを得なかったり、それが原因でトラブルの原因になることもありました。

さらに、遺言書の作成後に、作成した本人が認知症になって、遺言書の保管場所を失念してしまう恐れも否定はできないうえ、検認手続きの煩雑さも指摘できます。検認とは、相続発生後に自筆証書遺言や秘密証書遺言が見つかった場合、家庭裁判所が相続人を集めて行う証拠保全手続きのことです。遺言書の発見者や保管者は、相続開始後に遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出し、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人立ち会いのもとで開封しなければなりません。この手続きにはおおよそ一ヶ月ほどかかり、その間、遺産分割手続きは進展しません。

遺産相続

自筆証書遺言改正のポイント

以下に、自筆証書遺言改正のポイントについて記載します。改正の趣旨は、簡単に言えばこれまで問題とされてきた事項の改善であり、この改正により、自筆証書遺言がこれまで以上に利用しやすくなることは間違いないでしょう。

自筆証書遺言の要件緩和

改正の第一弾は、自筆証書遺言の要件緩和であり、この改正によって、別紙として添付することを条件に、相続財産の全部又は一部の目録(財産目録)については、自書である必要がなくなりました。パソコン等で作成しても、登記事項証明書や預・貯金通帳のコピーで代替しても、第三者が代筆することも可能になりました。

ただし、こうした要件の緩和は、2019年1月13日以降に作成した遺言書から適用され、それ以前に作成した遺言書については無効です。並びに、財産目録の全てのページに、遺言者が署名、押印しなければならず、さらに、財産目録を訂正する場合は、遺言者が訂正箇所に変更した旨を付記して署名し、押印しなければならないことに注意しましょう。

改正後の財産目録

改正後の財産目録
別紙として添付

なお、要件が緩和されたのは、あくまでも遺言本文に別添として添付する財産目録のみですので、誤解のないよう注意してください。遺言の本文はこれまで通り自書しなければならず、例えば、遺言本文を記載した用紙に、不動産の所在地や預・貯金の口座などをパソコンで記載しても無効です。また、預・金通帳のコピーの裏面等に、相続させる相続人の氏名を記入し、その者に相続させるなどと記載しても無効です。

遺言状の作成

民法が、「全文、日付及び氏名」の自書を自筆証書遺言の要件としている理由は、筆跡から、本人が書いたものかどうかをある程度確認できることと、加筆修正がし難いことから、変造防止にもなるためです。

今回の改正により、自筆証書遺言の要件が緩和されたとは言っても、決して民法の趣旨が変わった訳ではないこと、財産目録は、必ず別添として添付しなければならないことを理解しておきましょう。

自筆証書遺言の保管制度の新設

自筆証書遺言に関しては、改正の第二弾として、本人が自筆証書遺言を法務局に持参すると、日付や署名、押印といった形式上の要件をチェックしたうえで、保管してもらえる制度が2020年7月10日から施行される予定です。この制度を利用すると、これまでの問題点の一つとして指摘した、家庭裁判所における検認の手続きも不要になります。以下に、手続きの概要を記載します。

・申請する法務局は、遺言書作成者の住所地、本籍地、所有している不動産の 所在地のいずれかの中から選択可
・遺言者自らが選択した法務局に出頭し、保管を申請(代理人による申請は不可)
・法務局が法律上の形式要件を確認
・法務局で原本を保管し、画像データとしても記録
・訂正や再作成した遺言書を再度保管申請することも可

ただし、遺言者が死亡しても、法務局から遺族に、遺言書を保管している旨の通知はなされません。また、遺言者の生存中に、相続人等が法務局に遺言書保管の有無を確認することもできません。従って、遺言者が保管制度を利用している事実を、相続人や遺言執行者などにあらかじめ伝えておかなければならないことに注意が必要です。

なお、遺言者の死後であれば、相続人や遺言執行者などが、法務局に遺言書の有無や、遺言書の画像データの確認をしたり、それらを証明する書面の交付を請求することが可能ですが、その場合、法務局から他の相続人等にも、遺言書を保管していることが通知されます。これにより、例え遺言が特定の相続人に不利な内容であったとしても、他の相続人に遺言の存在を秘匿したり、書き換えたりすることができないように配慮されています。

改正後自筆証書遺言と公正証書遺言の比較

今回の改正により、自筆証書遺言においてこれまで問題とされてきたかなりの部分が改善されることになり、公正証書遺言と比較しても、さほど遜色はなくなったようにも思われます。そこで、以下に改正後自筆証書遺言と公正証書遺言の違いについて考察してみます。

自筆証書遺言の改正により公正証書遺言と同じになった点

第一に、自筆証書遺言が変造されるリスクが希薄になり、相続開始後に必要だった、家庭裁判所における検認手続きが不要になった点を指摘できます。繰り返しになりますが、検認は遺言書の変造を防止するための証拠保全手続きであり、法務局で保管することにより、遺言書の変造が事実上困難になるためです。

同時に、法務局で保管することは、形式に不備があり、法律上無効になる遺言書が作成されなくなることも意味します。遺言書の法務局での保管制度を利用する場合、法務局で形式上に不備がないか事前に確認することになり、この点についても公正証書遺言と同等になったと言えるでしょう。

改正後でも自筆証書遺言と公正証書遺言が異なる点

改正後であっても、本文については自書でなければならない点は変わりません。改正により、自書である必要がなくなったのは財産目録のみに過ぎません。そのため、何らかの障害や視力、体力の衰え等により文字が書けない人は、自筆証書遺言書を作成すること自体が困難なことは、これまでと変わりません。公正証書遺言の場合は、遺言者が文字を書けなくても、公証人が遺言者の口述によって代わりに遺言書を作成することが可能です。

反面、公正証書遺言の場合は、公証役場へ手数料が発生します。費用は全国一律ですが、遺言書の内容によって手数料額はそれぞれ異なります。その点、自筆証書遺言であれば、法務局での保管制度を利用する手数料以外の費用はかかりません。公正証書遺言の作成費用と比較すると、大幅に少ない費用で作成できるでしょう。

一方、自筆証書遺言の場合、法務局での保管制度を利用することにより、事実上変造のリスクはなくなったとは言え、本当に本人が本人の意思で書いたのか、作成時、本人が認知症等ではなかったのか、と言った証明は極めて困難と言わざるを得ません。公証人に加え、証人2名が作成に立ち合う公正証書遺言と異なり、自筆証書遺言の場合は本人だけで任意に作成でき、逆にそれがメリットの一つでもあるからに他なりません。

相続法改正について まとめ

自筆証書遺言の有用性が高まり、公正証書遺言との違いが小さくなったことで、これまで公正証書遺言には多少二の足を踏んでいた方も、ある程度自由に作成できる自筆証書遺言であれば、遺言書を残してみようかと考えるケースが増えるかも知れません。

しかしながら、自筆証書遺言の法務局での保管であっても、公正証書遺言であっても、形式上の不備や変造を防止してくれるに過ぎません。

遺言を残すに当たって最も重要な点は、残される遺族の心情にも配慮し、相続が発生した後の手続きが、実際にスムーズになされるよう、多岐にわたる検討が必要であると言うことです。これは、自筆証書遺言でも公正証書遺言でも変わりません。遺言書作成後の相続人の状況の変化等にも考慮して作成する必要があります。決して形式面の要件さえ満たしていれば安心できる訳ではなく、肝心の内容について、十二分に検討しなければならないことを理解しておきましょう。

この記事を書いた人

佐藤喜三男

佐藤喜三男

大手証券会社、大手クレジットカード会社、新たな形態の銀行において、幅広い職種を30年間経験。これらの経験を活かし、ファイナンシャルプランナー兼相続診断士として、身近な事を何でも気軽に相談できる、資産・生活設計、終活・相続全般のゼネラリストとして活動中。