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親を扶養に入れることで節税対策になる?

親を扶養に入れることで節税対策になる?

経営者や個人事業主と違い、税金や社会保険料が毎月の給与から天引きされる給与所得者にとって、節税の方法は、住宅ローン減税や医療費控除などに限られてしまいます。しかも、それらは一部の対象者にしか適用されず、自ら確定申告するなど、煩雑な作業を伴います。せめて生命保険料控除や配偶者控除などと同様に、年末調整で済ませられる節税方法が他にもあったら良いと思いませんか?

実は条件さえあえば、ご両親を扶養扱いにして、扶養控除をうけることもできるのです。その概要について解説します。

扶養とは

扶養とは、簡単に言えば経済的に親族を養っていることで、一般的には所得税や住民税が安くなる扶養控除のことを想定する方が多いと思います。もちろんこれはその通りなのですが、扶養には、実は社会保険料を低く抑えるという側面もあります。この二つの側面を認識していない、あるいは理解が混在している方も多いのですが、まず前提として、これらは全くの別物であることを理解しておきましょう。

税金上の扶養の側面…扶養控除

最初に扶養の税金上の側面、即ち扶養控除についておさらいしてみます。

扶養控除は、納税者本人と生計を一にし、所得が一定金額以下の配偶者以外の扶養親族がいる場合に、納税者本人の所得から差し引けます。

なお、12月31日時点の年齢が19歳以上23歳未満の親族を特定扶養親族、70歳以上の親族を老人扶養親族、納税者本人、またはその配偶者の親で、同居している親族を同居老親等と言い、所得税、住民税の控除額は、それぞれ以下となります。

控除が増えるほど、所得税、住民税の課税対象となる「所得」が減ることにより、従って税金も安くなることになります。

税金上の扶養の要件

親を税金上の扶養対象とするためには、以下の要件を満たしている必要があります。

1、親の年間の合計所得金額が38万円以下
2、納税者と生計を一にしている

一つ目の要件、「親の所得が38万円以下」の意味ですが、これはあくまで所得のことであり、収入ではありません。所得とは、収入から控除を引いた金額のことであり、仮に親の年齢が65歳以上で、収入が公的年金だけだと仮定すると、以下の控除が認められています。

公的年金等に係る雑所得の速算表(令和2年分以後)

公的年金等に係る雑所得の速算表(令和2年分以後)

つまり、令和2年分以降については、控除を行った後の金額が38万円以下であれば、この要件を満たすことになり、例えば親の収入が公的年金のみで、65歳以上の場合、148万円以下(148万円-110万円=38万円)であれば良いことになります。

とは言っても、厚生年金受給者の場合だとかなり難しく、実情は、国民年金のみの受給者 に適した制度、と言っても過言ではないかも知れません。

なお、仮に専業主婦だった母親が、既に他界した配偶者の厚生年金を、遺族年金として引き継いでいる場合は多少条件が異なります。そもそも遺族年金は非課税ですので、例え年金額が多くても、所得38万円以下の要件を満たす可能性が高いでしょう。

次に二つ目の要件、「納税者と生計を一にしている」についてですが、これは、同居していなければならないということではありません。実は生計を一にしている、つまり経済的に養っているということの、具体的な基準はないに等しいのです。

例え別居していても、生活費や医療費など生活を維持するために不可欠の仕送りを定例的にしていれば、生計を一にしていると見なされます。反面、仕送りをしていたとしても、金額が小遣い程度の額で、しかも定例性が認められなければ、生計を一にしているとは見なされず、扶養扱いにすることはできないことに留意しましょう。

社会保険上の扶養の側面

次に扶養の社会保険上の側面ですが、これは簡単に言えば健康保険のことです。納税者本人が給与所得者で、勤務先の健康保険に加入していれば、扶養扱いになった親も同じ健康保険に加入することができ、当然親の健康保険料はかかりません。

このように、親の健康保険料を無料にできる家計的な効果は非常に大きいのですが、子が親を自分の勤務先の健康保険上の扶養親族として申告するには、親の収入の額などに制約があり、条件を満たすことはかなり難しいのが実情です。

社会保険上の扶養の要件

親を社会保険上の扶養対象とするためには、以下の要件を満たしている必要があります。

・親の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者であれば180万円未満)
・同居している親の収入が被保険者(子)の収入の半分未満
・別居している親の収入が被保険者(子)からの仕送り額未満

例えば、親の年齢が65歳、月収130,000円、年収1,560,000円だと仮定すると、一つ目の要件は満たします。二つ目の要件を満たすためには、被保険者(子)の方の年収が3,120,000円を超えている必要があり、さらに別居している場合は、毎月130,000円を超える仕送りをしていなければ、三つ目の要件を満たすことができないことになります。

いずれにしろ、親の収入がある程度低くない限り、社会保険上の扶養の要件を満たすことは難しいことになりますが、扶養の本来の意義からしても、これはある程度やむを得ないと言わざるを得ないでしょう。

親を扶養に入れることでどのくらい節税対策になるのか

さて、親を扶養扱いとすることで、可能になる控除額については既に記載しましたが、それでは実際にどのくらい節税になるのでしょう?

ここで、もう一度所得税、住民税の控除額を見てみます。

所得税、住民税の控除額

両親が70歳未満の場合

所得税:38万円×2人=76万円、住民税:33万円×2人=66万円の控除が受けられます。従って、仮に納税者本人の課税所得が600万円と仮定すると、復興増税分を除いて所得税率=20%、住民税率10%(均等割りは考慮せず)ですから、大まかに計算すると、所得税は15.2万円、住民税は6.6万円、合計21.8万円程節税できることになります。

両親が70歳以上で別居の場合

前記と同じ前提で、所得税:48万円×2人=96万円、住民税:38万円×2人=76万円の控除が受けられます。従って大まかに計算すると、所得税は19.2万円、住民税は7.6万円、合計26.8万円程節税できることになります。

両親が70歳以上で同居の場合

前記と同じ前提で、所得税:58万円×2人=116万円、住民税:45万円×2人=90万円、合計206万円の控除が受けられます。従って大まかに計算すると、所得税は23.2万円、住民税は9.0万円、合計32.2万円程節税できることになります。

年収が多くなる程税率も高くなりますから、さらに節税額も増えることになります。繰り返しになりますが、もしも親を社会保険上の扶養扱いにもできた場合は、親が現状負担している健康保険料が0になります。この節約効果も、決して少なくはない筈です。親を扶養扱いにできるかどうかで、大きな違いがあることが理解いただけると思います。

ご両親を扶養扱いにする手続き

それでは実際にご両親を扶養扱いにするには、どのように手続きすれば良いのでしょう? 扶養には税金上の扶養と、社会保険上の扶養の二つの側面があることは既に記載しましたが、同様に手続きもそれぞれ別に行う必要があります。

税制上の扶養扱いにする手続き

要件を満たすことさえできれば、手続きそのものは簡単で、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を、年末調整時に勤務先に提出するだけで済みます。

なお、同居していない場合は、生計を一にしていることの証明として、仕送りしていることを証明する資料の提出を求められます。その際、実際に仕送りをしていたとしても、現金で手渡している場合は、客観的な証明資料がないことから、認めてもらえないこともあります。そのため、振り込みにして送金内容の記録を残したり、現金書留で送金し、その控えを保管しておくなどの対策をし、実際に仕送りしていることを、客観的に証明できる資料を提出するようにしましょう

社会保険上の扶養扱いにする手続き

以下の書類を、勤務先の健康保険の担当部署に提出し、勤務先を通して手続きします。

A,同居している場合

・世帯全員の住民票
・親の課税(非課税)証明書

B,別居の場合

・親の戸籍謄本(申請者との続柄が分かるもの)
・仕送りを証明する資料

仕送りを証明する資料としては、実際に仕送りしていることを、客観的に証明できる資料を提出する必要があることについては、税制上の扶養扱いにする手続きと同様です。

親を扶養に入れる まとめ

親を扶養扱いにすることで、納税者本人にとっては節税となり、親にとっては健康保険料が無料になるなど、大きなメリットを得られます。ただし親が75歳になり後期高齢者医療制度に移行すると、健康保険料についての効果はなくなってしまいますし、親が75歳未満でも、親の所得区分が現役並み世帯と見なされると親の所得区分が変わり、毎月一定以上の医療費がかかっている場合などは、むしろ医療費が増えてしまうことになりかねません。また場合によっては、親が将来遺族厚生年金をもらえなくなることも、想定できないことはありません。 節税や社会保険料節約の手段の一つとして、親を扶養扱いにすることを考慮する場合は、家族全体でのメリットとデメリットを比較検討したうえで、検討するようにしましょう。

この記事を書いた人

佐藤喜三男

佐藤喜三男

大手証券会社、大手クレジットカード会社、新たな形態の銀行において、幅広い職種を30年間経験。これらの経験を活かし、ファイナンシャルプランナー兼相続診断士として、身近な事を何でも気軽に相談できる、資産・生活設計、終活・相続全般のゼネラリストとして活動中。