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みなし譲渡とは

みなし譲渡とは

所有する資産を譲渡して所得が生ずると所得税が、物品を購入したりサービスの提供を受けると、対価の支払時に消費税が課税されます。ところが、所得が生じていなくても、あるいは、物品やサービスの提供に対価を支払っていなくても、所得税や消費税が課税される場合があります。こうした、いわゆるみなし譲渡と呼ばれる制度について解説します。

譲渡所得とは

始めに、一般的な譲渡所得についておさらいします。

譲渡所得の対象には、現・預金、有価証券などの金融資産、土地、建物などの不動産といった有形資産の他、借地権や営業権、特許権などの無形資産も含まれます。こうした資産を譲渡することで生ずる所得を譲渡所得と言い、以下の計算式で算出します。ただし、事業用商品や、山林などを譲渡することで生ずる所得は事業所得になり、譲渡所得には含みません。

課税譲渡所得金額=収入金額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額

なお、収入金額は、所有する資産を譲渡して得た対価のことです。取得費は譲渡した資産の購入代金や購入手数料、譲渡費用は譲渡するために要した費用のことです。

また、譲渡所得の特別控除には、以下のような種類があります。

・公共事業などのために土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
・マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例
・特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
・特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
・平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例
・農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例
*国税庁のホームページより転載

さらに、譲渡所得は短期譲渡所得と長期譲渡所得に分類され、所有期間が5年以下の資産を譲渡して発生する所得を短期譲渡所得、所有期間が5年を超える資産を譲渡して発生する所得を長期譲渡所得と言います。

みなし譲渡とは

みなし譲渡とは、所有する資産を無償で譲渡したり、慣行上妥当と思われる金額よりも極端に低い価額で譲渡した場合に、税法上、実際に譲渡した価額ではなく、慣行上妥当と思われる価額で譲渡したとみなして課税する制度のことです。こうした取引の内容によっては、形式上は例え譲渡による所得が生じていなくても、あるいは、譲渡を受けた資産やサービスの対価を支払っていなくても、所得税、または、消費税が課税されることがあります。

みなし譲渡とは01

みなし譲渡として課税される具体例

個人が法人に無償で資産を譲渡した場合

経営している法人に、自分が所有している資産を無償で譲渡したとします。この場合、対価を受け取っていませんから、譲渡所得は生じません。しかも、譲渡した個人が譲渡先の法人の実質的な所有者である場合は、自分が所有する資産を自分の所有する法人に形式上移転したに過ぎないことになり、本来負担しなければならない所得税の負担を逃れることができます。

こうした意図的に所得税の負担を逃れる行為を防止するため、税法はこのような取引については、例え無償で譲渡した場合でも、時価で譲渡したと仮定して、譲渡した資産の時価と取得価額の差額を譲渡所得とみなすことにしています。

みなし譲渡とは02

上記の例では、譲渡費用が無いと仮定した場合、時価と取得価額の差額である500万円が譲渡所得とみなされ、他の所得と損益通算や、特別控除額の控除などを実施しなければなりません。

なお、上記と同じ前提で個人から個人へ譲渡した場合は、差額の500万円については譲渡を受けた人に贈与税が課税されるため、譲渡した人に譲渡所得が生じたとはみなさず、二重課税にならないように考慮しています。

個人が法人に慣行上妥当と思われる金額より極端に低い価額で資産を譲渡した場合

個人が法人に、慣行上妥当と思われる金額より極端に低い価額で資産を譲渡した場合も、無償で譲渡した場合と同様の効果が生ずるため、やはり所得税の負担を緩和することができます。このため、税法はこうした取引についても、実際に譲渡した価額ではなく、時価で譲渡したと仮定して、譲渡した資産の時価と取得価額の差額を譲渡所得とみなします。

なお、慣行上妥当と思われる金額より極端に低い価額の目安としては、概ね時価の50%未満とされています。

相続人が被相続人(故人)から限定承認で遺産を相続した場合

みなし譲渡は、相続でも発生することがあります。例えば、被相続人(故人)の遺産に借金などのマイナスの財産がある場合、相続人は、原則としてこれを他の預金などのプラスの財産と同様に引き継ぐことになりますが、相続が開始したことを知った時から3カ月以内に家庭裁判所へ申し立てることにより、受け継いだプラスの財産の範囲内で債務を返済すれば済む方法があり、これを限定承認と言います。

限定承認で相続すると、税法は、被相続人(故人)が相続人に遺産を時価で譲渡したとみなし、被相続人(故人)に譲渡所得が生じることがあります。さりとて、故人である被相続人が所得税を申告することはできませんので、代わりに相続人が、相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に申告することになっています。この制度を準確定申告と言いますが、例え所得税が生じたとしても、限定承認での相続においては被相続人(故人)の債務という位置付けになるため、被相続人(故人)の借金などのマイナスの財産とを合わせた合計額が、その他のプラスの財産より多い場合は、結果として所得税の納税も免除されることになります。

みなし譲渡とは03

*限定承認で相続し、被相続人(故人)のマイナスの遺産総額と所得税の合計額が、プラスの遺産総額よりも多い合は、所得税の納税も免除

なお、限定承認で相続した遺産を、何らかの要因により売却する場合は、本来の500万円ではなく、相続時の時価である1,000万円が取得価額になることに注意が必要です。

法人が役員に無償で資産を譲渡した場合

物品を購入したり、サービスの提供を受けると、本来はその対価の支払時に消費税が課税されます。ところが、法人が役員に無償で資産を譲渡した場合は、役員は譲渡を受けた資産の対価を支払いませんので、消費税が課税されることはありません。つまり、実質的に消費税を負担しないで資産を購入すると同じ効果を得ることができます。

また、法人にしても、資産を購入した時点で一旦は消費税が課税されますが、役員への無償譲渡は、消費税の課税対象とされる「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」や「輸入取引」に該当しませんので、不課税取引の扱いとなり、消費税が還付されます。

こうした意図的に消費税の負担を逃れる行為を防止するため、税法は、法人が役員に無償で資産を譲渡した場合は、実際の取引形態に関わらず、事業として譲渡し、慣行上妥当な対価を受け取ったとみなすことにしています。具体的には、棚卸資産については事業としての販売価額の50%と仕入価額を比較し高い方の価額、棚卸資産以外の資産については、譲渡時の時価が消費税の課税対象とみなされます。

法人が役員に慣行上妥当と思われる金額より極端に低い価額で資産を譲渡した場合

法人が役員に慣行上妥当と思われる金額より極端に低い価額で資産を譲渡した場合も、無償で譲渡した場合と同様の効果が生ずるため、消費税の負担額を緩和することができます。このため、税法はこうした取引についても、棚卸資産については事業としての販売価額、棚卸資産以外の資産については、譲渡時の時価で譲渡したと仮定して、消費税の課税対象とみなします。

なお、慣行上妥当と思われる金額より極端に低い価額の目安としては、棚卸資産の場合は、概ね事業としての販売価額の50%未満か仕入価額未満の価額、棚卸資産以外の資産の場合は、概ね譲渡時の時価の50%未満とされています。

個人事業主が本来は事業用である資産を家事に使用した場合

個人事業主が、本来は事業用である資産を家事に使用した場合も、法人が役員に無償で資産を譲渡した場合と同様の効果が生ずるため、結果として消費税の負担を逃れることになります。そのため、税法上はこうした取引についても、対価の授受の有無に関わらず、棚卸資産については、通常の販売価額の50%と仕入価額を比較し高い方の価額、棚卸資産以外の資産については、譲渡時の時価を受け取ったと仮定して、消費税の課税対象とみなします。

みなし譲渡について まとめ

以上、みなし譲渡とは、個人が法人に、無償、あるいは、慣行上妥当と思われる金額より極端に低い価額で、資産を譲渡した場合に、税法上は時価で譲渡したとみなされ、所得税が課税される制度であること。

また、限定承認で遺産を相続した場合も、被相続人(故人)が相続人へ遺産を時価で譲渡したとみなされ、所得税が課税されることがありますが、被相続人(故人)の借金などのマイナスの財産と所得税を合わせた合計額が、プラスの財産より多い場合は、所得税の納税も免除されること。

さらに、法人か個人事業主かを問わず、事業者が無償で、あるいは、慣行上妥当と思われる金額より極端に低い価額で個人へ資産を譲渡した場合は、慣行上妥当と思われる価額で譲渡したとみなされ、消費税が課税されることをお伝えしました。

こうしたみなし譲渡と呼ばれる取引においては、実際の取引においては利益が発生していないため、申告漏れが生じ易いリスクがあります。申告漏れにならないよう、みなし譲渡の意味を十分理解しておきましょう。

この記事を書いた人

佐藤喜三男

佐藤喜三男

大手証券会社、大手クレジットカード会社、新たな形態の銀行において、幅広い職種を30年間経験。これらの経験を活かし、ファイナンシャルプランナー兼相続診断士として、身近な事を何でも気軽に相談できる、資産・生活設計、終活・相続全般のゼネラリストとして活動中。