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親のお金を子供が管理する家族信託 - 暮らしとお金のコラム

親が元気なうちにやっておくこと&知っておきたいこと。人生を豊かにするためのお役立ち情報をお届けします。

親のお金を子供が管理する家族信託

    2019年のG20大阪サミットでは認知症がアジェンダとして取り上げられました。
    認知症と共に暮らす人は世界中で5,000万人を超えると言われており、認知症患者の財産管理は世界的な社会問題となってきています。
    その中で注目を集めるのは「家族信託」です。
    家族信託はまだ普及が進んでおらず、弁護士でもスキームを完全に理解しているのは少ない新しい仕組みです。
    家族信託を理解して取り入れることで、様々な問題を解決することができます。
    この記事では家族信託の仕組みやメリットやデメリットについてご紹介します。

    1.信託とは

    家族信託を理解する前にまずは「信託」を理解しましょう。
    信託とは委託者が特定の目的のために受託者に財産を預けて受託者は受益者のために財産「運用・管理・承継」する仕組みを指します。
    この委託者、受託者、受益者の関係が信託を理解するうえで非常に重要ですのでしっかり頭に入れて覚えておいてください。
    信託の中でも受益者を自分に設定する事を「自益信託」といいます。
    自益信託では将来の自分のお金を預けて年金で受け取るような仕組みなどが一般的に利用されています。
    受益者を自分以外に設定することを「他益信託」といいます。
    他益信託では子供や孫に一括で贈与したくない場合などにお金を信託して、分割して贈与する場合などに使われています。
    また、信託銀行などの商業目的で行われているものを「商事信託」、それ以外の信託は「民事信託」と呼ばれています。

    2.家族信託とは

    信託の基本が理解できたところで家族信託についてご説明します。
    家族信託の場合、受託者が家族となっていることが特徴です。
    通常は信託会社など、信託のプロが受託者となります。
    信託には受託者として重い責任が課されますので、なかなか素人では受託することができないからです。
    しかし、財産を信託するためには家庭の事情や財産の内容を他人に知られることにもなります。他人に財産内容や家族の状況はなるべく知られたくないと言う方も多いでしょう。
    そこで、家族を受託者として信託をしようという仕組みが「家族信託」です。
    例えば高齢の親の財産を守るために、受託者が子供、受益者は親となっているようなケースです。
    財産の内容を他人に知られたく無い場合や信託報酬を抑えたい場合は家族信託を活用することで誰にも知られずに報酬を払うことなく財産を信託することができます。

    3.認知症になると家族でもお金が出せない?

    家族信託が急速に知名度を上げた理由の一つが認知症になった場合にお金が出せなくなるというリスクを世間が感じ始めたからです。
    意思能力が無くなってしまうと本人はお金を引き出すことができません。
    「だったら家族が代わりに行ってあげればよいのでは?」と思った方も多いのでは無いでしょうか。
    しかし、実は家族もお金を引き出すことはできません。
    これは銀行の対応が杓子定規で冷たいわけではなく、法律で定まっているので仕方がないことなのです。
    10万円を超える振込や200万円を超える現金出金には本人確認書類の提示など一定の手続きを経なければ行うことができません。
    この手続きを省略して、お金を出金して後々トラブルになってしまった場合は銀行側の責任になってしまうので銀行員もうかつに出金するわけにはいかないのです。
    これから高齢化が進み、認知症になる人は更に増えることが予想されますので、銀行でお金を出せないトラブルも増えていくでしょう

    4.家族信託と併せて理解したい任意後見契約・任意代理契約とは

    家族信託と併せて理解しておきたいのが任意後見契約です。
    家族信託は特定の財産を家族に信託する形態を取っています。
    しかし、全ての財産を信託することはできないので、家族が包括的に財産を管理することや、代わりに手続きをすることはできません。
    そこで活用したいのが「任意後見契約」と「任意代理契約」です。
    任意後見契約とは自分が元気なうちから認知症になった場合に誰に財産を管理してもらうかを決めておく制度です。
    認知症になってから財産を管理してもらう場合、弁護士などの専門家が選任されるケースが多くなります。
    これは裁判所が親族などの使い込みや親族間のトラブルを避けたいため、専門家を選任しておいた方が無難だからです。
    しかし、任意後見であれば自分がしっかりしている時から誰に任せるかを指定するため人選で揉めることはありません。
    しかし、任意後見契約はあくまで本人が認知症などで法律行為が出来なくなった時に効力を発する制度です。

    まだ、本人が手続きをできるものの高齢のため、なるべく役所などの手続きは親族に任せたいという方も多いのでは無いでしょうか。
    そんな方が利用できるのが「任意代理契約」です。任意代理契約を結んでおけば役所などでの各種手続きを代理人ができるようになります。
    しかし、任意代理契約も万能ではありません。不動産の売買などの重要な手続きは行うことができません。
    本人が認知症などで法律行為が出来なくなって後見人が立てられることで、初めて不動産売買などの重要な手続きを行うことができます。
    任意後見契約と任意代理契約を両方結んでおくことで、法律行為ができる時期と法律行為が出来なくなった後の手続きをスムーズに行うことができます。

    5.家族信託の活用例

    家族信託は実際にどのように活用されているのでしょうか、具体例を見ていきましょう。

    (1)認知症に備えて預金を子供に信託

    既にご説明の通り認知症になると、お金を出せなくなります。また、高齢の親が高額の詐欺被害にあうことも心配ですよね。
    そんな時に活用できるのが家族信託です。
    委託者兼受益者を高齢者の親、受託者を子供にすることで子供が財産の管理をしながら親のお金で親の生活資金を賄うことができます。
    この親のお金で親のお金生活資金を賄うということが、実は意外と難しいのです。
    トラブルを避けるため、例え家族であっても本人意外の出金に金融機関はなかなか応じてくれません。
    認知症の親を介護する子供にとって親のお金で親の生活資金を不自由なく出せることはとても嬉しいことなのです。

    (2)孫に定期的に贈与を続けたい

    孫の教育資金を援助してあげたいという方は多いのでは無いでしょうか。
    しかし、お孫さんがまだ幼い場合、いつ、どのくらいのお金が必要となるかはわかりません。
    家族信託はそのような時にも活用することができます。
    具体的な活用例は以下の通りです。
    委託者は祖父や祖母受託者を子供、受益者を孫にします。
    信託目的は孫の教育資金として信託したお金から支払うというもの。
    受託者である子供には広い裁量権がありますので、子供が孫(受託者である子供から見ると子供)の教育資金であると判断した場合はお金を引き出すことができます。
    この仕組みにより将来孫に必要となる教育資金を適切なタイミングで贈与することが可能です。

    (3)不動産を売却せずに孫の代に渡したい

    家族信託で信託できる財産は現金・預金だけではありません。
    不動産も信託財産とすることができます。
    特定の不動産を孫の代まで渡したい場合などには家族信託の仕組みを活用することができます。
    具体的には委託者と受益者を祖父や祖母とし、受託者を親戚など信頼の置ける人に依頼します。
    祖父や祖母が死亡した場合、子供が不動産の受益権を相続します。相続人が複数いる場合は遺言で相続する人をあらかじめ決めておくと良いでしょう。
    受益者は子供には相続しますが受託者は親戚がそのまま引き受けますので、子供は不動産の使用や収益を得ることができても売却することはできません。
    家族信託を活用することにより不動産を売却せずに孫の代まで渡すことができるのです。

    (4)遺言と併せて相続対策

    遺言と併せて家族信託を活用することで有効な相続対策をすることができます。
    家族信託には承継機能もありますが、その時に信託した財産にしか効力は発揮しません。
    遺言は自分が持っている全ての財産を誰にどのくらい相続させるかを決めることができます。
    オススメしたいのは遺言と家族信託を一緒に進めることです。
    家族信託の専門家は遺言の相談にも応じてくれることがほとんどです。
    遺言と家族信託を一緒に検討することでお互いに齟齬が生じることがなくなりますし、手続きも一緒にしてしまった方が何かと手間が省くことができます。
    自分が亡くなった後の資産の承継も気になる方は家族信託と遺言を同時に検討してみてはいかがでしょうか。

    6.家族信託の注意点とは

    家族信託を実際に検討する時の注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。確認しておきましょう。

    (1)損益通算ができない

    家族信託で信託している財産に損失が発生した場合、信託財産以外の委託者の利益と損益通算をすることができません(翌年以降の繰越も不可)。
    不動産などの損失が発生する可能性がある財産での家族信託を検討している場合は注意が必要です。

    (2)費用がかかる

    家族信託は非常に高度な知識を必要とするため、専門家が十分にいません。
    また、法律や税務がかなり複雑に絡み合うため、素人が家族信託を組成するのは容易ではありません。
    家族信託を適切に組成するためには高度な知識を持つ専門家への依頼が必要となるため、費用がかかってしまいます。

    (3)家族信託だけでは解決できない場合も多い

    家族信託は任意後見や後見代理、遺言などと組み合わせることでより効果が高まります。
    逆に言うと家族信託は様々な問題に対して解決策となりますが、家族信託だけで抱えている悩み全てが解決するということはあまりありません。
    家族信託の仕組みをよく理解してご自身にとって有効な対策を取らなければ意味のないものになってしまいます。

    まとめ

    家族信託はまだまだ普及が進んでいませんが、更に高齢化が進む日本社会では今後、益々活用が進むことになるでしょう。
    家族信託は高度な法律・税務の知識を必要とするため家族信託に精通する専門家はまだまだ少ないのが現状です。
    しかし、専門家と連携して有効な対策を行うことで家族が抱える悩みや問題を解決できる有効なツールとなるはずです。
    家族信託について正しく理解して、必要に応じて家族と相談してみると良いでしょう。

    この記事を書いた人

    すずきママ

    すずきママ

    大手信託銀行で9年間勤務。資産運用・相続・不動産等、お客様の資産に関する総合的な提案をしておりました。出産を機に退職し、ママさんライターとして活動しています。ファイナンシャル・プランナー2級、簿記2級。